写真と実物?勘違いと錯誤の話。

僕、幼稚園生くらいのときかな、ハワイに行ったことがあるんですよ。

5歳児海外デビュー。

小さい頃なんで、ほとんど覚えていませんが、今でも覚えていること。

英語のわからない5歳児どら弁は、メニューにある写真を見て、インゲン豆のソテーとライスセットを注文しました。
ベジタリアンではありません( ^ω^ )

そんなどら弁幼児の前に置かれたものは、どこからどう見てもグリーンピースとライスセット。

メニューを見返してもグリーンピースとライスセットは存在しませんでしたが、言葉の壁に阻まれ、涙の塩味を足した甘しょっぱいグリーンピースを頬張りました(´・ω・`)


というわけで、今回は写真と実物が違った場合を法的に考えてみようと思います。
ちなみに冒頭の例は僕の勘違いではありません。明らかに店が悪い(`・ω・´)

勘違いと契約


写真と実物が違うことってよくありますよね。
多少の違いは誤差の範囲だと思うのですが、それこそ冒頭の例のように、品物そのものが別だったり、およそ誤差と言えないレベルの差がある場合に、法律的にはどうなるのでしょうか?


コチラの記事で説明したとおり、契約は意思の合致で成立します。


そして、契約内容となるべき意思表示の内容は、客観から判断されます。

冒頭の例の場合、英語が読めなかったので言い切れませんが、当該メニューには写真が掲載されており、その写真を示して注文しました。
そのため、どら弁の意思表示の内容は客観的に「写真の料理=インゲン豆の注文」であることが読み取れます。

他方で、店側は、特異な店だったのか、世間でいうインゲン豆の料理=グリーンピースの料理だという新常識があったのかもしれません。
その場合、店側の認識としては、「あ、コイツは(インゲン豆こと)グリーンピースを注文しているんだ」と誤解したわけです。

客観的にはインゲン豆の料理の注文という意思表示が合致しているため、インゲン豆の料理を提供するという契約が成立することになりますが、実は民法にはこういう規定があるんです。


民法95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
① 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
②以下省略
3項 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
 ①以下省略


錯誤とはつまり勘違いのことであり、自分自身がそれに気づいていない状態です。
重大な勘違いは取り消せますよってことですね。

もっとも、常に取り消せるとすると、相手方が可哀想なので(これを「取引の安全」といったりします)、重大な勘違いであっても、自分の愚かな過ちによる場合は取り消せません(民法95条3項)。

「インゲン豆」を「グリーンピース」のことだと思っている場合、勘違いが生じています。
ちなみに、自分自身がその勘違いに気づいている場合は、嘘となりますから、心裡留保(民法93条)や詐欺(民法96条)の問題となります。

心裡留保?(´・ω・`)となった方はコチラの記事を読んでね。


この場合、意思表示(インゲン豆の料理)に対応する意思(グリーンピース)を欠いている状態にあたりますね。

そして、USAというお肉大好き国家において(偏見)、あえてインゲン豆というメニューが存在するその意義は格別です(無理矢理)。

そのため、インゲン豆がインゲン豆であるからこそその価値があるのであって(もはや意味不)、グリーンピースではインゲン豆の代わりにはなりません!!(勢い)


ので、錯誤取消しの対象となり得ます。
もっとも、インゲン豆とグリーンピースを間違えるなんて、愚かな過ちなので、重過失ありとして、結局錯誤取消しはダメそうですね。

ちなみに、上記のとおり、無理くりでも屁理屈を立てるのが弁護士の仕事ではありません。ただ、それっぽいことを言うのに慣れてるだけです。

今回の結論


結局、店側は錯誤取消しが認められず、どら弁は本来のインゲン豆を所望することができました。

言葉の壁がそびえ立ち、やむなくグリーンピースを貪りましたけども。

ちなみに、錯誤取消しの規定は、勘違いをした者を保護する規定であるため、今回の例で言えば、店側のみが主張することができます。


まぁハワイなんでそもそも日本の法律の適用はありませんけどね( ^ω^ )

みなさんもオーダーミスがあったときには、今回の記事を思い出して「民法95条では」などと言わないように( ^ω^ )
ヤベェ奴だと思われること必至です。


あとがき


そういえば、最近マッチングアプリで写真と実物が違うという話をよく聞きます。

写真の外見を超重要視してデートになった場合で、全くの別人と思しき人物がきたら、「勘違いなんでキャンセルで。」と言えるかもしれません( ^ω^ )

「写真は加工するもんだ!そんなん信じた貴様には愚かな過ちがあるからキャンセル拒否!」なんて言われたら、とても相性が良いと思うのでぜひ素敵なデートをお楽しみください。

それではまた次回のブログで!


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