うそつきの末路…嘘と心裡留保の話。

今回は、前回の口約束に引き続き、契約関連のお話。
「嘘」を法的に分析してみます。

前回の記事は漢字多用しすぎたので、少し強引でも具体例を重視したポップな感じでいこうと思います( ^ω^ )


ポップさってなんだ…。


嘘と法律?


口約束でも契約になり得ることは昨日の記事で解説しましたね。

まだ読んでない方はコチラをクリック!


では、嘘をついた場合の契約はどうなるんでしょう??


例えば、結婚するつもりもないのに嘘をついて婚約した場合。

これは有効なんでしょうか?


嘘の婚約とはこれまた紛争の匂いがぷんぷんしますが、ポップさを自分なりに表現した例です。


ポップって何。


ちなみに、今回の例であげる「婚約」は少し特殊なものなので、例としては適切ではないのですが、わかりやすさのために今回は「契約」という括りで説明しますね。ポップさ(笑)のためには多少の犠牲もやむを得ん(キリッ

実際の事案では本記事とは別の検討が必要ですのでご注意を( ^ω^ )

婚約って契約なの?


まずは前提から。

婚約とは、「近々結婚する」ということを内容とするものであり、「婚姻」という法律関係(権利義務)を目指したものとなりますので、立派な契約です。


契約内容はどうやって決まるの??


では、契約内容はどうやって決まるのでしょうか?

意思表示の合致で契約は成立するので、表示された意思内容で契約内容は決まります。
ちなみに、言葉だけでなく、行動なども重要です。
鼻クソほじりながら「結婚しよう」と言われてもホントかどうか疑わしい(´・∀・`)

これを表示主義といったりするのですが、覚える必要はありません( ^ω^ )


片膝ついて指輪パカーしながら「結婚しよう」と言われれば、誰でも「結婚すること(=婚姻関係の成立)」を目的としていることはわかりますよね。

心裡留保?


では、冒頭に戻って嘘のプロポーズを受けた場合、婚約は成立するのでしょうか?

民法にこんな規定があります。

民法93条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は無効とする。
2 (省略)


なんで法律ってこんなわかりにくく書くんですかね。
と思ったけど、わかりやすかったらこのブログの存在意義が消えかねないのでこのままで良いや( ^ω^ )

「表意者がその真意ではないことを知ってしたとき」というのは、要は嘘のこと。法律では心裡留保といいます。
民法を勉強する初期に学ぶので、法学部1年生が使いがちなワードランキング上位に食い込むネーミング。

嘘であったとしても「そのためにその効力を妨げられない」、つまり原則有効な契約となるんです。

この心裡留保の規定、これは先ほど言った、契約内容の決まり方と関係があります。

日本の民法は(財産法上の)契約関係においては表示主義を採用しているため、嘘だろうが表示された言動から理解される意思内容がとても重要です。

その人がどう考えてプロポーズしたのか、その隠された本心はわかりません。
本当は結婚するつもりがなくとも、言動から本気度が伝わればそれが契約内容となります。
まぁ結婚したいと思ってプロポーズしたと信じたいですけども!

後から「あれは嘘だから無効だよ♪」なんて話がまかり通ってしまったら、おちおちプロポーズも気軽におっけーできません┐(´д`)┌

おちおちプロポーズされるような人間ではないので、僕はあまり困りませんけど(´・ω・`)


今回の結論


さて、今回の結論。

嘘の口約束でも、原則的には有効な契約となります。
そのため、嘘のプロポーズもOKされれば、それが嘘だと知り得るものでない限り、婚約として有効な契約関係が生じます。

根拠条文としては民法93条ですが、今回の記事で説明したように、その法律の規定には、そのように規定された理由があります。
(これを「条文の趣旨」と言ったりします。法律の解釈にあたってその条文の趣旨を理解することはとても大切です。)

法律的には「心裡留保(民法93条)だから原則有効」という説明になりますが、どうして心裡留保だと原則有効なのか、そこを理解することが法律学の第一歩です( ^ω^ )


というわけで、嘘は原則有効、例外的に無効。

法律は嘘つきには優しくないですね( ^ω^ )
そうであって欲しいですが。


あとがき


そういえば、女性の多くがフラッシュモブのプロポーズはやめてくれという話を聞いたことがあります(どら弁調べ。裏は取っていません。)

雰囲気的に断れないから一応OKしちゃうけど、後から断ることもあるのだとか。

婚約という契約は少々特殊ですが、心裡留保の規定が適用され有効だと考えても、結婚を強制はできませんし、婚約破棄による慰謝料も、事情が事情だけに違法性が認められ難そうです(´・ω・`)


プロポーズをするときは、なるべく下調べをして行いましょう( ^ω^ )

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