納得いかん!美容院での気に入らない髪型と委任と請負。

僕、外見には無頓着で、髪も、邪魔になったら切るっていう感じなんですよ。

謎に1000円カットは嫌だっていうチンケなプライドはありますが、いつも行くところは2500円。
五十歩百歩。

ちなみに、当然指名しないので毎回違う人に切ってもらってます( ^ω^ )
この人上手いな、と思っても次に巡り会えるのはいつになることやら。まぁいうて2500円なんですけど。


というわけで今回のテーマは美容院。
カットについて、法的に考察していきます。

髪型に納得いかない場合??


美容院に行ってカットしてもらったけど、全然イメージと違う場合ってありませんか?

そういう場合、もう少しこうしてほしい、とかで何とかしてもらうのが普通だと思いますが、法的に取れる方法はあるんでしょうか?
ちなみに僕は陰キャなので、イメージと違っても受け入れます。


人に依頼する契約


誰かに何かをお願いする場合の民法で規定されている契約類型は、主に3つとなります(場合分けが曖昧過ぎますが無視します( ^ω^ ))。

1.雇用(民法623条)
 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

2.請負(民法632条)
 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

3.委任(民法643条)
 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

これらの法的な違いって何でしょうか?

簡単にいうとこんな感じ。

結果さえ良ければ過程は度外視なのが請負。

言うとおりにやってくれれば結果不問なのが雇用。

全てお任せし、結果も求めないのが委任。


頼む側からしたら、字面だけだと委任はヤバそう。

具体例は?


イメージしやすいように具体例を出しましょう。

請負は、例えば家の建築。
設計図どおりの家さえ作ってくれれば、下請けだろうが孫請けだろうが、どうでも良いですよね。
結果重視の請負の典型です。

雇用は、会社が従業員を雇うアレ。
上司の指示どおりにお仕事してもらえればとりあえず給料は貰えます。
結果を出さない従業員のクビが切られるのはまた別のお話。雇用の本質は誰かの指揮監督下で働くことにあります。

委任の典型は弁護士ですね。
何かを専門家に依頼するときの契約の代表です。自分では処理できないから詳しい人にお願いする。そのほうが良い結果が得られる可能性が上がりますが、結果までを保証するわけではありません。
委任は、請負と異なり結果を保証せず、雇用と異なり委任者の指揮監督を受けるわけではありません。


髪を切る契約?

さてここで本題。

美容師さんに髪を切るのをお願いするのはどういう契約でしょうか?
お客さんが美容師を雇っているわけではないので雇用ではありませんね。

請負か委任のどちらかです。

そして、僕のような、髪さえ切ってもらえれば誰でもいいという例外を除くと、通常は特定の美容師に依頼することが多く、お客さんは「この美容師さんに切って欲しい」と思ってその人を指名するわけです。
お店でも「指名料」を取ることも多く「誰に切ってもらうか」を売りにしていますよね。

指名したのに違う人が出てきて髪を切り始めては困るので(シュール笑)、委任契約と考えることができます(正確には「髪を切る」という事実行為を依頼するので準委任(民法656条))。

他方で、例えば、写真のとおりの髪型にしてほしい、と強く願い、その髪型にできる美容院を探し出して依頼する場合、結果(=写真のとおりの髪型)の獲得を重要な目的としていますので、(準)委任よりも請負に近い契約だと考えられます。

今回の結論

誰に頼むかを重視している場合は(準)委任。
どういう髪型にするかを重視している場合は請負。

もっとも、自分が求める髪型というのは自分の頭の中にしかありません。
写真などは自分の頭の中にある「設計図」を美容師さんに伝える手段でしかなく、普通は「その美容師」に頼むことで「頭の中にある設計図(理想の髪型)」に近づけるよう努力してもらうものだと思います。

そのため、基本は委任契約だと考えるべきだと思います。
美容師さんからしても、お客さんの頭の中にある完成形を認識するのは不可能なので、その完成形と違うからといって常に責任を取らされるのも酷ですし。

そして、委任契約は結果を保証する契約ではありません。
納得いかないからといって、法的に「やり直せ」ということは難しいのです(´・ω・`)

受け入れた上で、一消費者として二度と依頼しないと心に誓いましょう( ^ω^ )

なお、お店によっては「技術保証」といった特約を設け、一定期間内であれば無料で切り直してくれるお店が多いようです。
この場合、この特約を根拠にやり直しを法的に請求できます。

また、請負だと判断できる事情がある場合には、請負契約に基づきやり直しを要求するか、やり直しができなければ債務不履行として損害賠償を請求することもできます。

あとがき

今回は美容院の法律問題。
委任か請負か難しい問題でしたね。

そういえば美容院とか洋服屋さんって、めっちゃ萎縮して「はい。」しか言えなくなるのは僕だけでしょうか。

こうしている今も前髪がとてもウザくなってきているので、明日あたり髪でも切ってこようと思います。もちろんYESマンでどんな結果も受け入れます。

少しずつ読んでくれる方も増えて、とてもありがたいですね。
これからもどうぞよろしくお願いします。

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